大阪高等裁判所 昭和24年(を)3978号 判決
被告人
上村善高
主文
本件控訴を棄却する。
理由
弁護人村田定由の控訴趣意第一点について。
思うに数人共謀して他人の財物を強取した場合において共犯者の一人がその一部の分配を受ける行為は法律的評価においては単なる事後行為に属し独立の犯罪は構成しないけれども、自然的事実としては強盗取財罪の本来のすがたである。さればかかる場合共謀関係の証拠がなくて分配の点のみ明白である場合において、奪取財物を受け取つた部分に着眼する賍物収受の点は自然的事実としてはいわば全部一部の関係ともいうべき共通点を有するのであるから両者の間には法律上いわゆる公訴事実に同一性あるものといわざるを得ない。従つて原審が強盗の訴因につき予備的に追加した賍物収受の訴因に基き有罪の判決をしたのは相当であつて論旨は理由がない。